2008年5月17日(土)なくてならぬもの
おはようございます。白巻教会牧師の白津景蔵です。
私は約60年前の日本の敗戦のとき、赤ん坊であり、母の背中におんぶされ、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)から北緯38度線を乗り越えて故国日本へ引き揚げて参りました。母は当時の混乱と悲惨を極めた様子を克明に記憶していました。その母の話によると北緯38度線を夜、死に物狂いで乗り越えてくる途中で多くの人々は大切なリュックサックや持ち物や身につけて来た思い出の品を一つ又一つと道端に捨てて身軽になって生きるために必死に歩んだと言うのです。
現代人は物欲や金銭欲の虜になって大切なものを見失っています。このことをよく考えてみると物や金が人間の心を占める第一のものになり、神の座を占めているのですね。確かに生きるためには最低限度の物や金は必要かもしれません。
真の人間として生きるためにはもっと大切なものが必要です。それを見出すためにはもろもろの欲望から解放されなければならないのですね。38度線を超えてきた人々は余計なものを捨てることによって死の渕から生還したのです。
ルカによる福音書10章42節でキリストは「必要なことはただ一つである」と教えています。かけがえのないただ一つのものそれはキリストの犠牲の愛を悟り、魂の救い主としてキリストを信じ受け入れることです。