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哀歌5章
「絶望の淵」


あなたは激しく憤り
わたしたちをまったく見捨てられました。
(哀歌 5:22)

 哀歌は深い哀しみにいろどられた歌ですが、その中には罪の告白の言葉があり、悔い改めと立ち帰りを表明する言葉があり、さらには神を待ち望む歌もあります。

 しかし、哀歌の全編は「あなたは激しく憤り、わたしたちをまったく見捨てられました」との言葉をもってしめくくられます。この歌は絶望の極みの中で終えられるのでしょうか。もはやいっさいの希望が絶たれたということなのでしょうか。

 私たちは、主の民にあってはこのような絶望の深き淵さえも乗り超えられているということを知っています。「3時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。『エリ、エリ、レマ、サバクタニ。』これは、『わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか』という意味である」(マタ27章46節)。主イエスこそイスラエルと全人類の罪と絶望の淵を知り抜いておられた方です。その方が私たちの身代わりとなって、罪の刑罰を受けてくださったのです。十字架上で、御父に見捨てられてくださったのです。世を審判する権威と力をお持ちである方、真の審判者である御子が、私たちを滅びから救い出すために、御父に裁かれてくださったのです。

 哀歌が語り示す絶望の深き淵。すでにそこに、イエス・キリストの十字架の光がさし始めているのです。

 

 【祈り】

 私たちの救い主、贖いとよみがえりの主を、心からほめたたえます。

木下 裕也(岐阜加納教会)

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