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申命記32章1-44節
「思い起こすは過ぎ去らない遠い昔の日々」


遠い昔の日々を思い起こし
代々の年を顧みよ。
あなたの父に問えば、告げてくれるだろう。
長老に尋ねれば、話してくれるだろう。
(申命記 32:7)

 最期の日を見据えるモーセに、神は一つの歌を与えられます。荒れ野の40年を思い起こす歌です。告発の言葉が並びます。「不正を好む曲がった世代はしかし、神を離れ、その傷ゆえに、もはや神の子らではない」(5節)、「お前は自分を産み出した岩を思わず、産みの苦しみをされた神を忘れた」(18節)、「彼らは逆らう世代、真実のない子らだ」(20節)。

 胸が苦しくなる民の罪が列挙されています。それは、その歴史を後の世代が記憶し続けるためです。あの日々が遠ざかるほどに心に刻むことは重要さを増します。罪の記憶を思い起こすことは耐えがたいことですから、民は忘れようとします。事実を改ざんしようとします。そうして、民を「囲い、いたわり、御自分のひとみのように守られた」という神の憐れみも無かったことにします。

 「お前は…造り主なる神を捨て、救いの岩を侮った」(15節)。そのような過ちを繰り返さないために、罪を記憶する歌が与えられました。罪の歴史に目をふさぐとき、罪は猛威をふるい、民の前から神の憐れみを、隣人との平和をはぎ取っていきます。

 きょう、思い起こすべき歴史があります。過ぎ去らない過去の責任から、赦しと憐れみとを請い続けることから、私たちは逃げません。

 

 【祈り】

 主よ、遠い昔の日々を思い起こし、代々の年を顧みることができるように、勇気と誠実さをお与えください。

柏木 貴志(岡山教会)

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