復讐を求める心に救いを | 詩編 109編

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詩編 109編

彼の生涯は短くされ
地位は他人に取り上げられ
子らはみなしごとなり
妻はやもめとなるがよい。日本聖書協会『聖書 新共同訳』 詩編 109編8節~9節

復讐を求める心に救いを

詩人は、相手の不幸を公然と祈っています。私たちは主イエスの「敵を愛せよ」という教え、パウロの「自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい」という教えを知っていますから、この「復讐の詩編」を読むと戸惑ってしまいます。

これは詩人の言葉ではなく、詩人を攻撃している敵の言葉なのだとして、この問題を避けようとする解釈、方法もあります。また新共同訳聖書は8~20節を一段下げて編集し、「主はこのように報いられる」と、主の報復の具体的描写として理解しようとしました。

しかし詩人は赤裸々に、復讐を求める自分の心をさらけ出しているのです。しかし同時に、そのような自分の惨めさを自覚しています。「わたしを助けてください」(21節)という祈りは、「わたしは人間の恥」だ(25節)という罪の自覚のゆえです。

復讐したくなるわたしの心を、人にではなく神にさらけ出してよいのです。自らの復讐心を含めすべてを神に明け渡してしまいましょう。人がわたしを呪うことがあっても、神はわたしを祝福してくださいます。そのことを信じて神に祈ります。

立石 章三