BOX190 2005年3月23日放送     BOX190宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下 正雄 (ラジオ牧師)

山下 正雄 (ラジオ牧師)

タイトル: 「イースターエッグやイースターバニーって?」 神奈川県 ハンドルネーム・よっちゃん

 いかがお過ごしでいらっしゃいますか。キリスト改革派教会提供あすへの窓。水曜日のこの時間はBOX190、ラジオを聴いてくださるあなたから寄せられたご質問にお答えするコーナーです。お相手はキリスト改革派教会牧師の山下正雄です。どうぞよろしくお願いします。

 それでは早速きょうのご質問を取り上げたいと思います。今週は神奈川県にお住まいのハンドルネーム・よっちゃんからのご質問です。お便りをご紹介します。

 「山下先生、先日は私の質問を取り上げていただいてありがとうございます。服装にも長い歴史や深い意味があったのだと、びっくりしました。

 さて、今度はイースターに関しての疑問です。

 私は、趣味でフラワーアレンジメントのサークルに入っているのですが、そこで先日イースターにちなんだものを習いました。そして、タマゴだけでなくウサギもシンボルだということを知りました。生命力の象徴としてのイースターエッグは耳にした事があるのですが、イースターバニーにも何か由来があるのでしょうか?

 今回もくだらない質問かもしれませんが、よろしくお願いします。」

 よっちゃんさん、いつも番組を聴いていてくださってありがとうございます。

 今年ももうすぐイースターの日がやってきます。よっちゃんさんはイースターの日がどうやって決められているかご存知でしょうか? この日はクリスマスのように固定した日ではありません。毎年移動するので、クリスチャンの人でもカレンダーで毎年確かめないと分からなくなってしまいます。

 その日にちの決め方ですが、「春分のあとの最初の満月の後に来る最初の日曜日」ということになっています。春分の日はだいたい3月21日になります。「だいたい」といったのは、ときどきそうではない年があるからです。春分の日というのは夜と昼の長さが同じになる日ですから、天文学の計算によって求められます。ちなみに、去年と今年は3月20日が春分の日でした。イースターはその春分の日の後に最初に来る満月のあとの最初の日曜日ですから、3月21日より早まることはありません。また、どんなにおそくとも4月25日より遅くなることもありません。その間のどこかの日曜日になります。今年は今度の日曜日がイースターの日曜日と言うことになります。

 もともとは、イースターと言うのはイエス・キリストの復活をお祝いする日として2世紀ぐらいから祝われるようになったといわれています。それまで、キリストの復活は祝われなかったのかと言うと、そうなのではありません。年に一度どころか、ほとんどキリスト教会が生まれたのと同じ頃から、毎週祝われていました。それが、今でも続いている日曜日の礼拝なのです。つまり、イースターの原型は、キリスト教会の毎週日曜日の礼拝にあるわけです。キリストは週のはじめの朝早く、つまり、日曜日の早朝に復活されたので、その日を記念して、クリスチャンたちは日曜日に集会を持つようになったのです。新約聖書の使徒言行録20章7節にはこう書いてあります。

 「週の初めの日、わたしたちがパンを裂くために集まっていると、パウロは翌日出発する予定で人々に話をしたが、その話は夜中まで続いた。」

 週の最初の日に、クリスチャンたちはパンを裂くために集まってきたとありますが、これは現在の聖餐式と考えてよいと思います。聖餐式と言うのはイエス・キリストが最後の晩餐のときに定められた特別な儀式です。つまり、キリストの復活を覚える日曜日の集会には、キリストの死を記念する聖餐式も守られていたということなのです。

 ところで、キリストが十字架にかけられたのは、ちょうどユダヤの過越のお祭の頃でした。それで、初期の頃のキリスト教会では、イースターの日をユダヤ教の過越のお祭になぞらえて、「パスカ」と呼んでいました。今でも、パスカに由来する言葉で復活祭のことを呼ぶ言語はたくさんあります。イースターと言う呼び名は、むしろ、キリスト教とは関係のないところからきた言葉なのです。

 さて、話が随分と横道にそれてしまいましたが、ご質問の中に出てきたイースターエッグとイースターバニーのことですが、残念ながら、この二つは聖書とは関係のない習慣です。いったいいつの頃から始まったのかは定かではありませんが、その由来についてはまことしやかに語られています。

 特にロシアのイースターエッグは民芸品として芸術的な完成度も高いものがたくさんあります。そのロシアのイースターエッグを紹介した本を読んだことがありますが、イースターエッグの起源は聖書時代に由来するという伝説が紹介されていました。その伝説によるとマグダラのマリアがローマ皇帝ティベリウスに差し上げたのが最初であると言われています。もちろん、これは伝説ですから、歴史的な信憑性は定かではありません。

 いずれにしても、卵と言うのは死んでいるように見えながら、しかし、そこから新たな命が誕生するという神秘的な特徴をもっているために、復活の象徴として使われるようになったのではないかといわれています。

 イースターバニーの起源もキリスト教とは関係がなく、ヨーロッパの民間信仰と関係があるといわれています。ウサギがたくさん子供を産むことから、健康と繁栄と豊穣のシンボルとして信仰されるようになったようです。それがキリスト教の世界に入ってくるようになって、いつしか、民間信仰とキリスト教とがごっちゃになって、今日のような習慣になったのだと説明されています。

 ということで、どちらの習慣も本来のキリスト教とは残念ながら関係のないものなのです。しかし、こうした習慣は長い間、人々の間に受け継がれ、いつしか、本来の由来が忘れ去られ、まことしやかな説明だけが残ってしまったのです。

 最近ではフラワーアレンジメントなどでクリスマスについでイースターの装飾も日本に受け入れられるようになってきたのでしょうか。そのことはある意味では嬉しいことです。そのことがきっかけでキリスト教が教える復活の意味について考えるようにってもらえれば、これほどうれしいことはありません。現によっちゃんさんがこうして質問をお寄せくださったことを本当に嬉しく思いました。

 どうぞ、これをきっかけに新約聖書の福音書を読んでいただければ、クリスチャンたちがお祝いしているイースターのことももっとよく理解できるのではないかと思います。

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