キリストへの時間 2004年8月29日放送    キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

久保 浩文(高知教会牧師)

久保 浩文(高知教会牧師)

メッセージ: 大切な一つのこと

 皆様は、「一週間の歌」をご存じでしょうか。月曜日に何をして、火曜日に何をしてというように、次々と一週間のスケジュールが展開していくのです。私も子供の頃、心を和ませてくれる陽気な曲として好きな歌の一つでした。では、皆様の一週間のスケジュール、計画は如何でしょうか。空いている日は日曜日くらいで、結構、過密でハードなスケジュールで、次々と時間単位、分刻みで、寸暇を惜しんで休む暇なく、働いておられる方も多いのではないでしょうか。昔から、日本人は欧米人と比べて勤勉であるといわれています。忙しいことはよいことであると言われています。

 しかし、最近は、働き盛りの中高年層の方達が重い不治の病に倒れたり、過労突然死を迎えたりしています。人間は、機械の歯車ではありません。過密スケジュールを難なくこなしているように見えても、だんだんと疲労が蓄積して、忙しくすればするほど「心を亡くして」その人らしさ、人格さえも歪めてしまうのです。私達は、何のために、誰のためにそんなにあくせく働くのでしょうか。

 聖書にマルタとマリヤという姉妹が登場します。イエス・キリストは、この姉妹の家を定宿にしていました。ある時、イエス・キリストは、いつものように彼女たちの家で宿をとりました。二人は、イエス・キリストを迎えて全く別のことをしました。姉のマルタは、イエスが家に来れれるや否や、いろいろとイエスのもてなしのために心を配り、気を遣ってせわしく立ち働いていました。しかし、一方、妹のマリヤの方は、イエスの足元に座って、イエスの話に聞き入っていました。姉としては、猫の手も借りたい程で、あれもしなくては、これもしなくてはいけない、と思いつつバタバタしているのに、妹のマリアは、手伝おうともしませんでした。そのうちにマルタはイライラしてきて、手伝わないマリアに対してだけでなく、それを咎めようとしないイエス・キリストに対しても不満が募ってきて、ついに「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」と愚痴をこぼしてしまいました。それに対するイエスの答えは、「あなたは多くのことを思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことは一つだけである。マリアは良い方を選んだ」と予想外のものでした。

 わたしたちも、このマルタのように、精神的ゆとりもなく、あれもこれもと徒に走り回っていると、いつの間にか、自分を見失ってしまったり、肉体的精神的にもかなりのストレスをかけていることに気づかないのです。

 確かに私達を取り巻く環境は複雑多岐にわたっています。しかし、私達は人間ですから、それら全てに一度に対応することはできません。「あれもこれも」ではなくて、「あれかこれか」の取捨選択が当然のように必要となってきます。
 私達は、自分自身を見失わないためにも、必要なただ一つのことは何かをしっかりと見極めなくてはいけません。それは、仕事の上の問題ではなく、私達が、人格をもった一人の人間として、見失ってはいけない必要なただ一つのことなのです。それはマリアが選択したように、イエスの足元で、心静かにイエスの語られる御言に耳を傾けることなのです。このことが、あなたの毎日に活力と英気を養ってくれるのです。

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