2019年9月29日(日) ルカ16章19-31節 聖書に耳を傾ける


「金持ちは言った。『いいえ、父アブラハムよ、もし、死んだ者の中からだれかが兄弟のところに行ってやれば、悔い改めるでしょう。』アブラハムは言った。『もし、モーセと預言者に耳を傾けないのなら、たとえ死者の中から生き返る者があっても、その言うことを聞き入れはしないだろう。』」(ルカ16:30-31)

 この主イエスの言葉の中に、死後の世界を垣間見ることができます。きょうのたとえ話に登場する「金持ち」と「貧しい人」は、死後、お互いの境遇が逆転します。「彼(貧しい人)は慰められ、お前(金持ち)はもだえ苦しむのだ」(25節)。それで、「金持ち」は、まだ生きている兄弟たちに「こんな苦しい場所に来ることのないように」警告して欲しいと願います(28節)。その願いに、神の代弁者アブラハムが答えます。「お前の兄弟たちにはモーセと預言者がいる。彼らに耳を傾けるがよい」と(29節)。食い下がって訴える「金持ち」にアブラハムは言葉を重ねました。

 「モーセと預言者」とは、旧約聖書を指します。つまり、生きている人間には聖書がすでに与えられているから、死に備えることに十分だと言うのです。そして、その与えられている聖書に「耳を傾ける」とは、神の御前に心と体に刻み付けるほどのことを意味します。家に聖書があるだけでは「聞く」ことにはなりません。神を知る者が、聖書を生きた神の声として「聞く」ことができるように切にお祈りします。