2018年11月7日(水) エレミヤ19-20章 預言者の弱さ


主よ、あなたがわたしを惑わし
わたしは惑わされて
あなたに捕らえられました。
あなたの勝ちです。
わたしは一日中、笑い者にされ
人が皆、わたしを嘲ります。(エレミヤ20:7)

 主の神殿の庭で恐るべき主の裁きを告げたエレミヤは、大祭司パシュフルの手によって鞭打たれ投獄されます。敗戦によるエルサレムの破壊とバビロンへの捕囚は預言者によって警告されていたにもかかわらず、それが実現するまで人びとは関心を払いませんでした。

 エレミヤは主の言葉に忠実な預言者でしたが、自分が受けている苦難に対して超然と構えることができたわけではありません。罪人とされ人びとの嘲笑を受けながら、自分の運命を呪って神を訴えます。「あなたがわたしを惑わし」たとは、まるで神がエバを誘惑した蛇であるかのような言い草です。「あなたの勝ちです」、「わたしの負けです」(20章9節)と神に対する完全な屈服を表しながらも、自分は生まれなかった方がよかった(同14節)などと恨み言を口にします。

 神の言葉を真実に語る務めがどれほど過酷であろうとも、預言者は人間としての弱さを抱えつつ務めを果たさねばなりません。なぜ、とエレミヤは問いますが、その答えは御子イエスの受難の中に用意されています。