2018年9月27日(木) ルカ10章 ただ一つの必要


「しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」(ルカ10:42)

 この「マルタとマリア」の物語は、本来この場所にあるのはおかしいのです。なぜなら、彼女たちが住む村は「ベタニア」であり、その村はエルサレムのすぐ近くにあるからです。本当なら、主イエスの旅の終盤に差しかかる19章に置かれるべきです。しかし、ルカは「ある村」ということにして、この場所に置きました。それは「善いサマリア人」のたとえ話のすぐ後にこの物語を置きたかったからでしょう。

 愛すべき隣人と愛さなくてもよい敵を分けるのではなくて、たとえ敵対しているユダヤ人であっても傷つき倒れている人を助けた「善いサマリア人」のたとえ話の後に、このマルタとマリアの物語が置かれることになりました。

 それは、「行って、あなたも同じようにしなさい」(10章37節)という主イエスのご命令を実行するためには、まず主イエスの御言葉の恵みを受ける必要があることに、私たちが気付かされるためです。はらわたが痛むほどの深い憐れみをもって私たちを見つめ愛してくださる主イエス。その御言葉に聞くときに初めて、私たちも主イエスの愛の業に仕えることができるのです。