2016年11月25日(金) マルコ12章 やもめが持っていたもの


イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。「はっきり言っておく。この貧しいやもめは、賽銭箱に入れている人の中で、だれよりもたくさん入れた。」(マルコ12:43)

 女性の自立が困難であった時代、夫に先立たれたやもめは最も弱く、貧しい存在と考えられていました。そのやもめが神殿でささげたレプトン銅貨は当時の貨幣で最も小さい単位で、それは誰にも顧みられることもないわずかな金額でしかありませんでした。しかし、その献金を主イエスは「だれよりもたくさん入れた」と評価してくださったのです。

 私たちはこのやもめがレプトン銅貨以外に何も持っていなかったことに目を注ぎがちですが本当にそうでしょうか。実はこのやもめは他の人が持っていなかった大切なものを持っていたのです。それは神への信頼です。だから彼女が持っていたこの神への信頼が、その献金の姿勢に表されたと言えるのです。

 「ただ神により頼む人々は、幸いだ。天の国はその人たちのものだから」(マタ5章3節、共同訳)。私たちは自分の生活の中で足りないものだけに目を注ぎがちです。しかし、何も持っていなくても、この神への信頼を持っていることこそが、私たちにとって最高の幸せと言えます。