2016年7月10日(日) 詩編144編 人間とは何ものなのでしょう


主よ、人間とは何ものなのでしょう
あなたがこれに親しまれるとは。
人の子とは何ものなのでしょう
あなたが思いやってくださるとは。
人間は息にも似たもの
彼の日々は消え去る影。(詩編144:3-4)

 詩編144編は、「主をたたえよ、わたしの岩を」と、敵との戦いの中で、岩のように堅固にわたしを守られた主への賛美で始まります(1、2節)。

 3節では一転して、力強い主の前で、人はどのような存在なのかと、自分自身に目を向けています。何と人間とははかないものでしょう。直ちに消え去ってしまう息のような存在、人生の日々は、日が沈めば消え去ってしまう影のようで、つかの間です。詩人は冷静に一人の人としての自分自身のはかなさと弱さに目を向けています。

 しかし、主は息のようにはかない者の最も近いところにおられます。祈りに応えて戦いを導かれ勝利を与えてくださるお方です。何とすばらしく、畏れ多いことでしょう。そのような詩人の思いが伝わってきます。

 私たちの主は、すべての信仰者を世界でたった一人の存在であるかのように親しく顧みてくださる神です。詩人の「いかに幸いなことか、主を神といただく民は」(15節)との最後の感嘆の言葉を、いま私たちの信仰告白としたい、と願います。