2015年10月19日(月) サムエル下18章 悲哀と憐憫


兵士は言った。「出陣なさってはいけません。…しかしあなたは我々の1万人にも等しい方です。」(サムエル下18:3)

 アブサロムは戦闘中、樫の木に頭がひっかかり、宙づりになったまま、ダビデの将軍ヨアブに殺害され、あっけなく死んでしまいます。アブサロムの反乱はこうして失敗し、鎮圧されることになります。

 ダビデはこの戦闘には参加しませんでした。当時の戦争は、大将の首を取ることで決着しました。部下の兵士たちは、そのことをおもんばかって出陣を阻んだかのように記されています。しかし、実態はダビデに戦意がないと思ったからではないでしょうか。敵将の「アブサロムを手荒には扱わないでくれ」(5節)など、戦う相手の指導者が言うべき言葉ではありません。

 しかし、正直なダビデの心情であったと思います。歴戦の勇士ダビデから見れば、アブサロムの戦術は児戯にも等しく見えたのではないでしょうか。ダビデが送ったフシャイの偽りの策にアブサロムが乗せられた時点で、敗北は明らかです。それだけに、ダビデは子アブサロムの運命を心配したはずです。

 神の人ダビデのこのような悲哀と憐憫は、敗者を思いやる神の思いを映し出しているかもしれません。神は敗者であっても憐れむお方です。