2014年10月7日(火) エステル2章 エステルの美しさ


王の命令と定めが発布され、大勢の娘が要塞の町スサのヘガイのもとに集められた。エステルも王宮に連れて来られ、後宮の監督ヘガイに託された。彼はエステルに好意を抱き、…彼女を女官たちと共に後宮で特別扱いした。エステルは、モルデカイに命じられていたので、自分が属する民族と親元を明かさなかった。(エステル2:8-10)

 ペルシア全土より選び集められた新王妃候補者たち。その中にエステルの姿もありました。しかし、王の後宮に入っていくエステルから、彼女自身の意志を見つけることはできません。おそらく彼女は周囲の大人が言うままに、まだ少女のまま、王妃への準備を始めたのでしょう。

 それでも、ペルシアのしきたりに従い、一年間の美容エステを受けたエステルの美しさに誰もが好意を寄せずにはおれませんでした。一方で、エステルには、ある秘密がありました。それは彼女がユダヤ捕囚民の家系であるということです。そのことを固く秘めておくよう、彼女は、育ての親モルデカイから念を押されていました。捕囚民に対する偏見と差別意識が根強くあったからです。彼女は素直にその言いつけに従います。

 少女はまだ明確な自らの意志を持たず、その美しさは人びとを引きつけながらも、持て余しているようでもあります。しかし、その中で彼女の誠実さが育まれています。私たちには、その時々において、大切な時が与えられています。無駄な時などありません。きょうの大切さは私たちの思いを越えています。