2013年6月20日(木)コヘレト8章 不条理な世界で


今は、人間が人間を支配して苦しみをもたらすような時だ。(コヘレト8:9)

 神がいるならどうしてこの世に悪が存在するのか、と人はこの世の不条理に接して声を上げます。確かに、善良な市民に災いが降りかかる一方で、権力を悪用する者たちがわが世を楽しんだりしています。賢者が言うとおり「人間が人間を支配するような時代」は、今に至るまで変わりません。この世の幸福を基準に考えるならば、「善なる神」の存在はあやふやです。

 しかし、地上の王が自分の言葉で国を思いのままに動かすことができるように、全能者である神はこの世に起こるすべてのことを自由に定めておられます。そうなのですが、人間にはそのすべてを見極める力はありません。ですから、私たちは世界を観察することで神の善を信じるわけではありません。

 不条理な世界ではあっても神の支配は隅々に及んでいて、神を畏れる善人には幸福が訪れるという変わらない御旨への確信は、神の側から提示された聖書に親しむことによって私たちにもたらされます。不条理な十字架の死を通って復活の栄光を受けたイエス・キリストのご生涯が、それを何よりも雄弁に物語っています。