2011年1月7日(金)マタイ2章 闇は光に勝つことはない


こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、慰めてもらおうともしない、子供たちがもういないから。」(マタイ2:17-18)

 ヘロデ王は占星術の学者たちにだまされたと知ると、怒り狂ってベツレヘムとその周辺の二歳以下の男の子を一人残らず殺させました。自分が王であり続けるために、真の王を抹殺しようとしたのです。自分が神になろうとする人間の罪の暗闇が、クリスマスの喜びの光を飲み込もうとします。

 しかしマタイはこの出来事を、エレミヤの預言の成就として語ります。イスラエルの母であるラケルが息子たちを失って悲しみにくれている。それは罪のゆえにバビロン捕囚となったイスラエルの民に対する悲しみを表しています。しかしこの預言には希望に満ちた続きがあります。「泣きやむがよい、息子たちは帰って来る、わたしがイスラエルの家と新しい契約を結ぶ日が来る、わたしは彼らの悪を赦し、再び彼らの罪に心を留めることはない」と(エレ31章抜粋)。

 幼児虐殺の悲しみは、ラケルの悲しみと重ね合わされ、新しい契約による救いの実現を指し示しています。闇が光に勝つことは、決してありません。