2010年11月28日(日)詩編80編 涙のパンを食べるとき


イスラエルを養う方
ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ
御耳を傾けてください。…
万軍の神、主よ、あなたの民は祈っています。
いつまで怒りの煙をはき続けられるのですか。
あなたは涙のパンをわたしたちに食べさせ
なお、三倍の涙を飲ませられます。(詩編80:2,5-6)

 戦争によって祖国を失い、涙ながらに帰郷を願うイスラエルの辛い祈りです。9節の「ぶどうの木」とは、イスラエルのことです。神はひとつの苗を選んでカナンの地に植え付け、これを養い育てて、木は豊かに繁ってその土地を覆い尽くす程に成長しました。しかし今や、神の恵みが取り去られ、獣が食い荒らす廃園となっています。故郷を追われた旧約の民は、自らの歴史のなかでこの悲惨を体験し、痛恨の思いに浸されます。

 取り返しのつかない失敗に涙して、実を結ばないで焼かれるほかない切り株になった自分に失望しても、神のそばから離れない民には、祈り続ける希望が残されています。今の災いは神の怒りの表れであるかも知れません。罪のことを思えばなおさらそう思えます。しかし、日毎の糧となった涙が真に悔い改めの実を結ぶとき、憐れみ深い神はきっと、私たちに対して笑顔を取り戻してくださいます。神は御子の十字架でその意思を表されました。今は、まことの羊飼いが私たちのそばにおられます。