2020年2月9日(日) イエスと出会った人々2「パウロ」

 おはようございます。広島教会の牧師、申です。今日も先週に続き、聖書に出てくる一人の人を紹介させていただきます。今日紹介する人物は「パウロ」です。その名前は現代においても多くの人々が用いる名前ですので、聞き慣れている名前だと思います。

「パウロ」のもともとの名前は「サウル」です。「サウル」というのは、ユダヤ人の名前で彼はユダヤ人でした。彼は厳格なユダヤ人でありながらローマの市民権を持つ者として生まれました。ローマの市民権というのは、当時どこの国も自由に行けるような特権を持つことと同じです。彼は幼いときからユダヤ人の律法を学び、ユダヤ人が話すヘブライ語のみならず、ローマで広く使われたギリシャ語も話すことができました。

 サウルは、当時有名な先生であるガマリエルという人に学びました。今でいえば名門大学出身といえるでしょう。律法を学ぶことだけに熱心であったのではありません。彼は実践することにも熱心でした。だから、当時ユダヤ人の間で偽預言者とされていたイエスを信じるクリスチャンたちを迫害するのに熱心であったユダヤ人の一人です。

 ある日のこと、その日も彼はクリスチャンの人々を捕らえようとして他の町に行くところでしたが、その途中、復活されたイエスと出会うことになります。しかし彼が出会ったのはイエスの姿ではありません。ただ声だけが聞こえてきました。その時、彼は強い光によって目が見えなくなっていました。「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」(使徒9:4)という声が聞こえて、サウルは「あなたはどなたですか」(5節)と聞くと「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。」(同)という声が聞こえたのです。

 その日から、サウルは全く新しい人になりました。クリスチャンを迫害する人から、キリスト教を伝える人、しかもユダヤ人ではなく主に異邦人にキリスト教を伝える人に変わりました。そのとき、彼が話せるギリシャ語と、彼が持っているローマの市民権が大いに用いられるようになりました。また彼が子どものときから学んできた律法も、キリスト教を伝えるのに大きく用いられました。まるで、キリスト教を伝えるために生まれたかのように、ある日、突然彼のすべての才能や背景がキリスト教を伝えるために用いられるようになったのです。

 また、この時から名前もユダヤ人の名前であるサウルから、異邦人の名前であるパウロに変わったのであります。彼の伝道活動はパレスチナ地域のエルサレムから始まって今のギリシャやイタリアに至るまで広がり、全世界にキリスト教が広がる大きな役割を担ったことになります。

 彼は、イエスが生きている間に弟子となっていた12人の弟子たちの中には入っていません。実際、自分の目でイエスにあったわけではないのです。しかし、イエスと出会ってその人生が180度変わり、どんな弟子よりも熱心にキリスト教を伝える人になったのです。

 日本においては、親からキリスト教信仰を受け継いでクリスチャンになる人は極めて少ないと思います。多くが仏教や日本の土着信仰を持っていた人々でしょう。しかしそのような人が、パウロのようにあるきっかけを通してキリスト者となり、その内のある人は牧師になることも多くあります。

 実は、わたし自身もその一人です。子供の頃、わたしの友達の中には何人かのクリスチャンがいました。しかし、その友達から教会の話を聞くと、からかったり、あざ笑ったりしました。そのような自分がクリスチャンとなり、牧師になったのですから、神様の働きは本当にすごいんだなと思います。

 この番組を聞いているあなたはどんな背景を持っておられる方でしょうか。もしかして、あなたに対する神様のすばらしい計画があるかもしれません。今日は日曜日。近くの教会でイエス・キリストと出会ってみませんか。あなたの人生が変わるかもしれません。では来週まで。ごきげんよう!