人間の愛の恐ろしさ | サムエル記下 13章

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サムエル記下 13章

アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛していたその愛よりも激しかった。日本聖書協会『聖書 新共同訳』 サムエル記下 13章15節

人間の愛の恐ろしさ

ダビデの王家に暗い影がかかり始めます。一方で、それはよくある王家の跡目争いです。しかし、聖書は一連の出来事の始めにバト・シェバ事件を置くことによって、全てがダビデの罪の影響であることを示しています。

一連の出来事には、家族関係に収まりきらない、すべての人が持っている感情が表れています。

アムノンはダビデの長男で、正当な王位継承者の立場を持つ者です。アブサロムは、妹のタマルと共に美しい容姿を持つ人でした。また、彼らを動かすヨナダブは、王子たちの従兄弟で、大変賢い男とされています。いずれも立場や賜物に富んだ人びとですが、ここで見られる彼らの愛憎劇は、人がどんな立場や賜物を持っていても自らの思いを制御できず、不幸を生み出す姿を教えます。

そもそもすべての背後にダビデの王子たちへの偏った愛情があります。ダビデは彼らを愛していましたが、教え導くことに関しては無力でした。甘やかしていたと言わざるを得ません。神の知恵の導きを伴う愛だけが、真に人を生かすことができるのです。

長田 詠喜(新所沢伝道所)